
CG : Palestinian State
イスラエルのガザ虐殺を巡ってマクロン仏大統領の“パレスチナ国家承認”の発表後に異変が起きている。
G7の英国、ドイツ、カナダが相次いで“パレスチナ国家承認”を発表し、イスラエルは孤立を深めている。
イスラエルは第2次大戦後に中東に国家を樹立した。この為パレスチナ人が土地を追い出され難民となった。
パレスチナ難民をイスラエルは迫害し最近ではガザで虐殺を行っている。出て行くべきは彼らではないのか。
~David Luhnow によるストーリー~
広がるパレスチナ国家承認、孤立深めるイスラエル
パレスチナを国家として承認する欧米の同盟国が増えても、イスラエルやパレスチナに重大な影響をほとんど及ぼさないとみられる。だがそれは、かつて盤石だとみられていた西側のイスラエル支持に大きな亀裂が生じていることを露呈している。
ガザでの戦争が長引いて民間人の犠牲者が増え、人道危機が深刻化するほど、そうした亀裂が拡大する可能性がある。その一因となるのは、パレスチナ自治区でのイスラエルの軍事行動に強く反発する各国世論への政治家たちの対応だ。
140カ国余りがパレスチナを独立国家として承認済みだが、米国とその同盟・友好国の大半はこれまでのところ承認していない。承認していない国々は長年、国家承認はイスラエルとの包括的和平合意の最終的な成果として与えられるべきだと主張してきた。
このコンセンサスは、何年も前からひずみが大きくなっていたが、今はもう崩れている。英国のキア・スターマー首相は29日、イスラエルが、さまざまな条件の中でも特にガザでの戦争終結に向けて「実質的な措置」を講じなければ、英国はフランスに同調して9月までにパレスチナを国家として承認すると表明した。
この動きのわずか数日前、フランスは秋の国連総会の場を利用してパレスチナを正式に国家として承認すると表明した。フランスは他国に同調するよう積極的に働きかけており、一定の成功を収めているようだ。
カナダは30日、パレスチナ自治政府が統治機構を改革し、ハマスが関与できない形で2026年に総選挙を実施することを条件に、パレスチナを国家として承認する意向を示した。29日には、カナダなど15カ国のグループが、パレスチナの国家承認を確約する、または承認の用意がある、あるいは少なくとも「前向きに検討している」と表明する国連の文書に署名した。この動きは、イスラエルとパレスチナの紛争の「2国家解決」という考えに活力を与える狙いもある。
同じ外交努力の一環で、アラブ・イスラム諸国はイスラム組織ハマスに対し、イスラエルの安全保障上の懸念に対応する措置として、残りの人質全員の解放、武装解除、ガザ地区の支配権の放棄を初めて求めた。この宣言は、紛争解決を目指すために国連で開かれた2日間の会合の最後に出され、欧州連合(EU)や日本、メキシコなどの国々から支持を集めた。
フランスと英国は、パレスチナの国家承認を支持している西側諸国の中で最も有力な国だ。両国はいずれも核保有国であり、国連安全保障理事会の常任理事国だ。仏英はまた、宗主国として、近代の中東諸国誕生の際に大きな役割を果たした。両国はカナダと並び、西側の富裕国で構成される先進7カ国(G7)で最初にパレスチナを国家として承認する姿勢を示した国々となった。
政治コンサルティング会社ユーラシア・グループの欧州担当責任者ムジタバ・ラーマン氏は「これは重要な出来事だ。フランスと英国の判断がカスケード効果を生み出す可能性がある」と述べた。
トランプ米政権はこれまで、パレスチナ国家の承認が何十年も続く紛争の2国家解決の実現を後押しするとの考えを否定している。
「それをするなら、ハマスに報いることになる。私はそのようなことをするつもりは毛頭ない」。ドナルド・トランプ大統領は29日、米国がテロ組織に指定するハマスに言及してこう述べた。
ドイツも、イスラエルの安全を脅かしかねない施策を講じることに慎重な姿勢を維持している。オーストリアも同様だ。ドイツの対イスラエル関係は第2次世界大戦中のユダヤ人大虐殺に関与したことに深く結び付いている。
EUは、イスラエルのスタートアップ企業によるEUの研究支援プログラム「ホライズン」の利用を停止することを検討している。同プログラムは1000億ユーロ(約17兆0920億円)の規模を持つ。これまでのところ、この動きはドイツのせいで遅れている。
パレスチナ国家の承認は、広範な経済制裁など、イスラエルに実質的なダメージを与え得る措置には遠く及ばないが、今後の方向性を決める。いくつかの国はイスラエル極右の主要政治家であるイタマル・ベングビール国家治安相とベツァレル・スモトリッチ財務相に制裁を科している。彼らはガザ地区におけるユダヤ人の入植や、イスラエルが実効支配するヨルダン川西岸地区の併合を強く支持している。
西側の友好諸国がパレスチナ国家承認へと傾いていることは、イスラエルが長年抱いてきた懸念を強める。米国のイスラエル支持が変わらないとしても、世界でイスラエルの孤立が深まる恐れがある。米国での学生たちの抗議デモや、イスラエル現政権と米民主党議員らとの対立を受け、こうした懸念が一段と強まっている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、仏政府の動きに対し、「そうした条件でのパレスチナ国家の樹立は、イスラエルを壊滅させる動きの発射台になる。そんな国の隣で平和に暮らすことはできない」と語った。イスラエルの野党陣営からも、英仏両国に対する怒りの声が上がっている。
イスラエルは米政府の支持を得ており、安全保障上の核心的利益についてロシア政府、中国政府との間でも、慎重な対話を維持している。こうした状況は、他の西側諸国との緊張の高まりにイスラエルが対処できることを示している。
それでもイスラエルは、西側友好諸国の一枚岩の支持を失うことを惜しむだろう。こうした国々は、イスラエルが非難された際に同国を擁護し、国際会議の場で外交的支援を提供し、イランの核開発や地域的な野望といった、イスラエルの安全保障上の主な懸念事項への対処に協力してきたからだ。
テルアビブを拠点とするシンクタンク、国家安全保障研究所(INSS)の欧州研究部門トップのレミ・ダニエル氏は、国際的にイスラエルと最も緊密な関係にある国の中にも、インドのようにパレスチナを国家として承認している国がいくつかあると指摘する。その中には、冷戦期にパレスチナ国家を承認した東欧諸国も含まれる。しかし同氏によれば、仏英両国の動きは「イスラエルの国際的立場の変化」を示すものだという。
国連総会は2012年、パレスチナを非加盟のオブザーバー国家(投票権なし)として認める決議を採択した。2024年には、常任のオブザーバー国家に格上げされた。米国が拒否権を行使していなければ、パレスチナの国連正式加盟の決議案が(安保理でも)採択される状況だった。より多くの国がパレスチナ国家を承認すれば、もっと多くの国際機関、国際クラブへのパレスチナの参加につながる可能性がある。
イスラエル軍の国際法律部門トップを務めた経験を持つエラン・シャミールボレル氏は「こうした全ての国々が最終的に(外交官を駐在させるなどの形で)パレスチナを国家として扱うようになるかもしれない」と語った。同氏は現在、エルサレムを拠点とするシンクタンク、イスラエル民主主義研究所(IDI)に在籍している。
イスラエルに関する西側のコンセンサスは、この10年で徐々に変化してきた。その背景には、イスラエル政府が2国家解決に反発する姿勢を強め、ユダヤ人入植地が拡大している中で、独立した、領土が隣り合ったパレスチナ国家の建設がますます困難になっている状況がある。
イスラエルがガザの一部併合計画を示していることや、大規模な飢餓の恐れが指摘されていること、ヨルダン川西岸地区で入植者による攻撃が増加していることで、欧州の懸念は高まった。
デービッド・ラミー英外相は29日に国連で開かれた中東紛争に関する会議で、「これははっきりさせておきたい。ネタニヤフ政権が2国家解決を拒否するのは間違っている。道徳的にも戦略的にも間違っている」と発言した。「それはイスラエル国民の利益を損ない、公正かつ永続的な和平への唯一の道を閉ざすものだ」
スターマー英首相に行動を迫る圧力が高まっていた。閣僚を含む約130人の労働党議員から、パレスチナを国家承認するよう公然と要請されていた。調査会社ユーガブが最近実施した世論調査では、英国民の45%が承認に賛成と答え、反対は14%だった。

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