MTF Charts


『ドーズの限界』から「カメラの高画素化は必ずしも高解像化ではない」という確信に至ったのである。

上図はカメラの一般的なMTFチャートで絞り値による解像度を表している。少し絞ると解像度が上がる。

 

筆者はカメラとレンズの組み合わせによる「ドーズの限界の絞り値」を計算で求め、適合性を検証する。

即ち、この値がレンズの解放絞り値よりも大きければ“適合”であり、小さければ“不適合”になる。

 

“適合”であれば上図の様に少し絞る事で解像度が上がる組み合わせである。その後は“回析”の影響が出る。

“不適合”な場合は解放絞りで“回析”の影響が出るという事で、この組み合わせで高解像は得られない。

 

これまでの適合性の検証から、フルサイズ撮像素子では5000万画素程度が限度ではないかと思われている。

ところが、ソニーのα7R Vなどは6100万画素という高画素仕様になっている。ここに当然の疑問が生じる。

 

このα7R V『ドーズの限界』を考慮して設計されているのかという疑問である。回析の影響はないのか。

そこでFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIの組み合わせとFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSの組み合わせを検証する。

 

α7R V + FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIの検証>

望遠鏡の対物レンズは回析の影響を受けるが、口径が大きい程にその影響度が小さくなり、分解能が高くなる。

『ドーズの限界』とはこの際の重要ファクターで、分解能Θ(秒)=115.8÷口径D(mm)で定義される。

 

カメラの場合には、接眼レンズ側の受光体であるセンサーの画素ピッチが解像度(分解能)に影響して来る。

カメラのレンズの分解能が画素1つの大きさ以下になった場合,写真の解像度は画素ピッチで決まって来る。

 

ところが現実のカメラのレンズ系には収差があるので、解放絞りよりも絞った方が解像度が高くなるのだ。

“一眼レフカメラ”では絞りを5.6とか8に絞った時が最も解像度が高くなる様に規格化されていたと思う。

 

α7R Vフルサイズセンサーでサイズは36×24(mm)であるから200mmでの水平画角は10.29°になる。

α7R Vのセンサーは6100万画素であるので、L(ラージ)サイズでの大きい水平側画素数は9504になる。

 

これらからセンサー上での水平画角方向での角度単位の画素ピッチを計算すると3.898″(秒)となる。

光学的分解能が『ドーズの限界』以下となる絞り値は、『ドーズの限界』の定義式から6.73と計算される。

 

この計算結果からα7R V + FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIF5.67.1まで絞れ素晴らしい組み合わせと言える。

α7R VFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIとの組み合わせで6100万画素の高解像度が得られ回析の問題は無い。

 

 

α7R V + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSの検証>

同様の計算をα7R V + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSの場合について行い検証をする。途中の計算は省略。

光学的分解能が『ドーズの限界』以下となる絞り値は、『ドーズの限界』の定義式から6.75と計算され

 

計算結果6.75という絞り値はFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSはテレ端で解放絞り値とほぼ同じ値である

恐らく解放絞りでは回析の影響は無いと言える。だが、そこから絞ると回析の影響で解像度は低下する。

 

しかし流石ソニーだ、6100万画素の高画素機に対応出来るFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSを販売していた。

α7R V と組み合わせた場合、テレ端600mmでは解放絞りよりも絞らずに使う事がテクニックだと言える。