カメラ撮像素子の高画素化と高感度化によって、交換レンズとの組み合わせで問題が生じる場合がある。
撮像素子の高密度化は『ドーズの限界』を超え回析の影響が出る場合があり、暗いレンズで顕著になる。
今回はR5 IIのRF70-200mm F2.8 L IS USMとRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMへの適合性を検証してみる。
前回はR5 IIと RF200-800mm F6.3-9 IS USMの組み合わせが不適合という結果だった。どんな結果になるか。
<R5 II + RF70-200mm F2.8 L IS USMの検証>
望遠鏡の対物レンズは回析の影響を受けるが、口径が大きい程にその影響度が小さくなり、分解能が高くなる。
『ドーズの限界』とはこの際の重要ファクターで、分解能Θ(秒)=115.8÷口径D(mm)で定義される。
カメラの場合には、接眼レンズ側の受光体であるセンサーの画素ピッチが解像度(分解能)に影響して来る。
カメラのレンズの分解能が画素1つの大きさ以下になった場合,写真の解像度は画素ピッチで決まって来る。
ところが現実のカメラのレンズ系には収差があるので、解放絞りよりも絞った方が解像度が高くなるのだ。
“一眼レフカメラ”では絞りを5.6とか8に絞った時が最も解像度が高くなる様に規格化されていたと思う。
R5 IIはフルサイズセンサーでサイズは36×24(mm)であるから、200mmでの水平画角は10.29°になる。
R5 IIのセンサーは4480万画素であるので、L(ラージ)サイズでの大きい水平側画素数は8192になる。
これらからセンサー上での水平画角方向での角度単位の画素ピッチを計算すると1.133″(秒)となる。
光学的分解能が『ドーズの限界』以下となる絞り値は、『ドーズの限界』の定義式から7.81と計算される。
7.81≒8と見做すとR5 II + RF70-200mm F2.8 L IS USMはF8まで絞れて、素晴らしい組み合わせと言える。
R5 IIは大三元レンズとの組み合わせで4500万画素という高解像度を発揮出来る。そういう設計なのだろう。
<R5 II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの検証>
同様の計算をR5 II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの場合について行い検証をする。途中の計算は省略。
光学的分解能が『ドーズの限界』以下となる絞り値は、『ドーズの限界』の定義式から7.82と計算された。
7.82≒8と見做すとR5 II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMではテレ端で解放絞り値7.1を超えている。
この事からこの組み合わせは解放絞りでの使用でも若干の回析の影響を受ける可能性があり不適合だ。
<R5 IIは超望遠ズームとの組み合わせがデリケートだ>
これまでの検証から、R5 IIは超望遠ズームとの組み合わせを避けるべきだというのが筆者の結論である。
R5 IIと組み合わせるレンズはF2.8以下の明るいレンズが良い。撮像素子が高画素なのでレンズを選ぶ。
R5 II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの組み合わせはよく評価写真などで見掛け、高い評価を得ている。
だが、その際の絞り値は解放の7.1になっている。計算結果からもこの絞り値での回析の影響はかなり小さい。
筆者の予想的私見だが、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMに対してはR5 IIよりもR6IIの方が適している。
4500万画素のR5 IIよりも2400万画素のR6IIの方がより高解像度の画像が得られるのではないだろうか。
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