カメラ撮像素子の高画素化と高感度化によって、交換レンズとの組み合わせで問題が生じる場合がある。
撮像素子の高密度化は『ドーズの限界』を超え回析の影響が出る場合があり、暗いレンズで顕著になる。
今回はテレ端でF9と暗い最新の超望遠ズームレンズのRF200-800mm F6.3-9 IS USMについて検証を行う。
組み合わせるカメラはこれも最新のR5 II、R1、R6 IIとする。野鳥や鉄道、スポーツ撮影でよく使われる。
<R5 IIの場合の検証>
望遠鏡の対物レンズは回析の影響を受けるが、口径が大きい程にその影響度が小さくなり、分解能が高くなる。
『ドーズの限界』とはこの際の重要ファクターで、分解能Θ(秒)=115.8÷口径D(mm)で定義される。
カメラの場合には、接眼レンズ側の受光体であるセンサーの画素ピッチが解像度(分解能)に影響して来る。
カメラのレンズの分解能が画素1つの大きさ以下になった場合,写真の解像度は画素ピッチで決まって来る。
ところが現実のカメラのレンズ系には収差があるので、解放絞りよりも絞った方が解像度が高くなるのだ。
“一眼レフカメラ”では絞りを5.6とか8に絞った時が最も解像度が高くなる様に規格化されていたと思う。
R5 IIはフルサイズセンサーでサイズは36×24(mm)であるから、800mmでの水平画角は2.578°になる。
R5 IIのセンサーは4480万画素であるので、L(ラージ)サイズでの大きい水平側画素数は8192になる。
これらからセンサー上での水平画角方向での角度単位の画素ピッチを計算すると1.133″(秒)となる。
光学的分解能が『ドーズの限界』以下となる絞り値は、『ドーズの限界』の定義式から7.83と計算される。
7.83≒8と見做すとR5 II + RF200-800mm F6.3-9 IS USMは解放絞りでも回析の影響が出ると予想される。
RF200-800mm F6.3-9 IS USMはキヤノン純正レンズだが、R5 IIとの組み合わせは避けた方がよいだろう。
<R1、R6 IIの場合の検証>
同様の計算をR1 、R6 IIの場合について行い検証をする。R1 + RF200-800mm F6.3-9 IS USMの結果は以下。
光学的分解能が『ドーズの限界』以下となる絞り値は、『ドーズの限界』の定義式から10.69と計算された。
10.69≒11と見做すとR1 + RF200-800mm F6.3-9 IS USMはテレ端でF11まで絞って使用する事が可能だ。
R6 IIは撮像素子の画素数がR1 と同じ2400万画素なので結果は同じで、F11まで絞っての使用が可能だ。
筆者の私見だが、R1やR6 IIではキヤノンの全てのEFレンズとRFレンズが使える設定なのだと考える。
今回の検証例からも「高画素化は必ずしも高解像化にはならない」という事が理解されて来るのである。
これも筆者の私見、5000万画素以上の高画素のセンサーのカメラを求めるならば中判機を考えるべきだ。
実際に中判機は1億画素のカメラが販売されている。フルサイズカメラを遥かに超える高解像機である。
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