R6+150-600


<『ドーズの限界』による回析の影響>

デジタル一眼レフカメラからミラーレスカメラになって、撮像素子の高画素化や高感度化が進んでいる。

デジタル技術の進歩によるものだが、その結果、これまでのカメラの常識が通じない現象が現れている。

 

カメラの『ドーズの限界』による回析の影響である。少し絞ると解像度が上がるという常識が通じない。

デジタル一眼レフでは解放絞りから5.68.0に少し絞ると解像度が上がるというのが常識になっていた。

 

ところが、撮像素子の高画素化によって『ドーズの限界』による理論上の絞りの限界値が下がってしまう。

つまり、撮像素子の素子密度によって決まる絞りの限界値が、現実のレンズの解放F値よりも小さくなる。

 

例えば、『ドーズの限界』からの絞りの限界値が4.0だとすると、これを超える明るさのレンズは使えない。

この場合、F値が5.6以上のレンズを使うと『ドーズの限界』を超えてしまい“回析”の影響を受けるのだ。

 

更には、撮像素子の高感度化によって解放F値が8.011.0などという“暗いレンズ”が昨今増えている。

結果、『ドーズの限界』から見て“回析”という画像劣化を起こすカメラとレンズの組み合わせが生じる。

 

<『ドーズの限界』からの最適絞りの理論値>

これまでいくつかのカメラとレンズの組み合わせによる『ドーズの限界』からの“適合性”を検証して来た。

今回は、筆者が使っている R6 + SIGMA 150-600mm F5-6.3 Contemporary の場合について検証を行ってみた。

 

望遠鏡の対物レンズは回析の影響を受けるが、口径が大きい程にその影響度が小さくなり、分解能が高くなる。

『ドーズの限界』とはこの際の重要ファクターで、分解能Θ(秒)=115.8÷口径D(mm)で定義される。

 

カメラの場合には、接眼レンズ側の受光体であるセンサーの画素ピッチが解像度(分解能)に影響して来る。

カメラのレンズの分解能が画素1つの大きさ以下になった場合,写真の解像度は画素ピッチで決まって来る。

 

ところが現実のカメラのレンズ系には収差があるので、解放絞りよりも絞った方が解像度が高くなるのだ。

“一眼レフカメラ”では絞りを5.6とか8に絞った時が最も解像度が高くなる様に規格化されていたと思う。

 

EOS R6フルサイズセンサーでサイズは36×24(mm)であるから600mmでの水平画角は3.437°になる。

EOS R6のセンサーは2010万画素であるので、L(ラージ)サイズでの大きい水平側画素数は5472になる。

 

これらからセンサー上での水平画角方向での角度単位の画素ピッチを計算すると2.261″(秒)となる。

光学的分解能が『ドーズの限界』以下となる絞り値は、『ドーズの限界』の定義式から11.7と計算される。

 

実際に計算してみると分かるのだが、一般的にこのテレ端での計算結果はアポ端まで大きな変化は無い。

即ち、R6 + SIGMA 150-600mm F5-6.3 Contemporaryの組み合わせでは11まで絞って使えるという事である。

 

これはデジタル一眼レフでの常識である「少し絞ると解像度が上がる」という使い方が出来るという事だ。

『ドーズの限界』の計算からR6 + SIGMA 150-600mm F5-6.3 Contemporaryはウェルバランスだと理解された。

 

RシステムでのEF仕様レンズの高性能化>

キヤノンユーザーにとってのRシステムカメラの大きな恩恵として“EFレンズが使える”という事がある。

しかも、デジタル一眼レフカメラで使う場合よりもEF仕様レンズのAFの速度や精度が向上するのでる。

 

それは撮像センサーの全画素が測距点になっている事や、位相差AF後のコントラスト微調整が貢献する。

“EF仕様レンズ”と書いたのはシグマなどのEF仕様レンズが全てRシステムで高性能化するという事だ。

 

中でもSIGMA 150-600mm F5-6.3 Contemporaryはキヤノンの現像ソフト「DPP」がそのまま使えるのである。

対象となってないのは「デジタルレンズオプティマイザ」だけだが、2000万画素のR6では殆ど効果が無い。

 

キヤノンはフルサイズRシステムからサードパーティー製レンズを締め出してるが“穴場的存在”なのだ。

次掲の写真はR6 + SIGMA 150-600mm F5-6.3 Contemporaryで撮ったものである。野鳥撮影でカラスを撮った。

 

焦点距離は600mmで解放絞り、瞳フォーカスがガチピンで捉えていて、カラスの羽根が繊細に写っている。

カラスの羽根が真っ黒でない事が分かる。青や紫に輝いていて羽根の1枚1枚が実に繊細に描写されてる。


筆者はとてもコスパの高いシステムを使っていると言えるのではないか。だが理想を追求したい気もある。

理想を言えば R1 + RF100-300mm F2.8 L IS USM + EXTENDER RF2x なんかだね。予算が組めればだけどね。


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