野鳥撮影などでEOS R7 と超望遠ズーム RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMを組み合わせた例を見掛ける。
APS-Cというフルサイズの1.6倍の倍率が得られるEOS R7と最大で500mmの焦点距離の組み合わせだ。
単純に考えるとフルサイズ換算で最大800mmの焦点距離が得られ、野鳥撮影には最適であると思われる。
キヤノンが推奨する組み合わせかは分からないが『ドーズの限界』からこの組み合わせを検証してみる。
望遠鏡の対物レンズは回析の影響を受けるが、口径が大きい程にその影響度が小さくなり、分解能が高くなる。
『ドーズの限界』とはこの際の重要ファクターで、分解能Θ(秒)=115.8÷口径D(mm)で定義される。
カメラの場合には、接眼レンズ側の受光体であるセンサーの画素ピッチが解像度(分解能)に影響して来る。
カメラのレンズの分解能が画素1つの大きさ以下になった場合,写真の解像度は画素ピッチで決まって来る。
ところが現実のカメラのレンズ系には収差があるので、解放絞りよりも絞った方が解像度が高くなるのだ。
“一眼レフカメラ”では絞りを5.6とか8に絞った時が最も解像度が高くなる様に規格化されていたと思う。
EOS R7はAPS-Cセンサーでサイズは22.3×14.8(mm)であるから、500mmでの水平画角は2.55°になる。
EOS R7のセンサーは3250万画素であるので、これをフルサイズに換算した場合8125万画素に相当する。
L(ラージ)サイズでの大きい水平側画素数は6960で、これをフルサイズに換算すると11005画素に相当する。
これらからセンサー上での水平画角方向での角度単位の画素ピッチを計算すると0.836″(秒)となる。
光学的分解能が『ドーズの限界』以下となる絞り値は、『ドーズの限界』の定義式から3.61と計算される。
即ち、EOS R7 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの組み合わせでは、F4以上絞ると回析の影響を受ける。
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの500mmでのF値は7.1であって、これは計算で得られた3.61を超える。
何とその差は2倍程もありEOS R7 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの組み合わせは回析の影響を受ける。
衝撃的結果であり『ドーズの限界』からEOS R7 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの組み合わせはNGだ。
以下の写真は某大手カメラ店がこの組み合わせで撮ったそうだが、鳥瞳フォーカスでも鮮明さに欠けてる。
EOS R7で野鳥とかを撮る場合、換算高画素8125画素を活かして撮るにはどんなレンズが必要なのだろう。
『ドーズの限界』から計算すると、RF400mm F2.8 L IS USM や RF100-300mm F2.8 L IS USMなどが適合する。
キヤノンはフラッグシップカメラのR1と高画素カメラのR5Ⅱを発売したが画素数は他社に比べ抑え気味だ。
『ドーズの限界』を考慮しての事なのではないだろうか。“高画素化は必ずしも高解像化ではない”のである。
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