
| 中国の海洋進出と日本の国防 |
<中国の海洋戦略>
中国の海洋戦戦略は1981年から1996年まで海軍司令官だった〝劉華清〟という提督が作ったものだとされる。
大きくは〝再建期〟〝躍進期〟〝完成期〟の3つの期間から成っていて、それぞれが約20年間になっている。
大きくは〝再建期〟〝躍進期〟〝完成期〟の3つの期間から成っていて、それぞれが約20年間になっている。
① 再建期(1982年~2000年)
戦略目標は中国沿岸海域の完全な防備態勢を整備すること。
具体的には海軍の編成と装備の近代化を行うことである。
この戦略目標はほぼ達成された模様である。
戦略目標は中国沿岸海域の完全な防備態勢を整備すること。
具体的には海軍の編成と装備の近代化を行うことである。
この戦略目標はほぼ達成された模様である。
② 躍進期(2001年~2020年)
○前期(2001年~2010年)
戦略目標は第一列島線までの近海の支配権を確保すること。
第一列島線とは日本列島、南西諸島、台湾、フィリピン、及びボルネオを結ぶ線内。
○前期(2001年~2010年)
戦略目標は第一列島線までの近海の支配権を確保すること。
第一列島線とは日本列島、南西諸島、台湾、フィリピン、及びボルネオを結ぶ線内。
○後期(2011年~2020年)
第二列島線までの西太平洋の支配権を確保すること。
第二列島線とは小笠原諸島、マリアナ諸島、グアム、及びカロリン諸島を結ぶ線内。
空母機動部隊を中心としたハイテク兵器を装備した海軍力の建設が目標になる。
これは現在進行中であり、空母は2012年に最初の1隻が就役する予定らしい。
第二列島線までの西太平洋の支配権を確保すること。
第二列島線とは小笠原諸島、マリアナ諸島、グアム、及びカロリン諸島を結ぶ線内。
空母機動部隊を中心としたハイテク兵器を装備した海軍力の建設が目標になる。
これは現在進行中であり、空母は2012年に最初の1隻が就役する予定らしい。
③ 完成期(2021年~2040年)
戦略目標は、米海軍による太平洋、インド洋の独占的支配を阻止すること。
その為に、米海軍に匹敵する世界最強の海軍力を保有することを掲げている。
戦略目標は、米海軍による太平洋、インド洋の独占的支配を阻止すること。
その為に、米海軍に匹敵する世界最強の海軍力を保有することを掲げている。
<海洋進出の経済的背景>
中国が海洋進出をする背景には、急速な経済成長をしている経済の事情が大きく関わっている。
即ち、急速な経済発展や国民生活の近代化に伴い、その消費量増加に見合うだけの膨大な量のエネルギーの確保が必要になって来ているのである。
1980年代までは石油輸出国だったのが、1993年には輸入国に転じ、2003年には石油消費量が日本を抜いて世界第二位となっている。
2010年には石油の輸入比率が6割を超えているというデータもあり、国内は日常的に電力不足に見舞われているとされる。
即ち、急速な経済発展や国民生活の近代化に伴い、その消費量増加に見合うだけの膨大な量のエネルギーの確保が必要になって来ているのである。
1980年代までは石油輸出国だったのが、1993年には輸入国に転じ、2003年には石油消費量が日本を抜いて世界第二位となっている。
2010年には石油の輸入比率が6割を超えているというデータもあり、国内は日常的に電力不足に見舞われているとされる。
電力不足は中国の経済成長にとって大きなブレーキになるのであり、中国政府としては、エネルギーの確保が最優先課題になっている。
そうしないと、国内の不満が中国政府に向かい、暴動など現中国共産党政権の基盤が揺らぐ恐れがあるのである。
そうしないと、国内の不満が中国政府に向かい、暴動など現中国共産党政権の基盤が揺らぐ恐れがあるのである。
このエネルギー確保の為に、外国の石油会社の買収をしたり、イランやスーダン、ベネズエラ等の人権や民主化等で問題がある国々に積極的に接近して石油の輸入量の確保を図ったりしている。
大きな国土を有している中国だが、今後、陸地での石油やガスの大規模な開発は見込めないとされる。
大きな国土を有している中国だが、今後、陸地での石油やガスの大規模な開発は見込めないとされる。
この為、近海の海底資源の開発に力を入れて来ているのである。
例えば、東シナ海での海底油田の開発が挙げられる。
また、近年、日本周辺の近海に世界最大規模の〝メタンハイドレード〟の海底ガス田のあることが知られて来たのである。
中国が最近になって急に〝尖閣諸島〟の領有権を主張し始めた背景にはこうした事情がある。
例えば、東シナ海での海底油田の開発が挙げられる。
また、近年、日本周辺の近海に世界最大規模の〝メタンハイドレード〟の海底ガス田のあることが知られて来たのである。
中国が最近になって急に〝尖閣諸島〟の領有権を主張し始めた背景にはこうした事情がある。
<中国の海洋支配の方法>
これには1980年代に於ける中国の〝南沙群島〟への進出パターンが参考になる。
南沙群島は、中国の他、台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシア及びブルネイの6ヵ国が領有権を主張している海域である。
南沙群島には大量の石油資源、豊富な漁場が存在し、南シナ海を支配するのには重要な位置を占めている。
南沙群島には大量の石油資源、豊富な漁場が存在し、南シナ海を支配するのには重要な位置を占めている。
以下に、中国の南沙群島への進出と実効支配への手順を時系列に整理してみた。
① 1975年、ベトナム戦争終結による米軍の同地域からの撤退
② 1980年代、海洋調査船による海洋調査を開始
③ 1987年、海軍艦艇がこの海域での行動を開始
④ 1988年、ベトナム側の永暑礁に漁民を上陸させて中国の主権碑を設置
⑤ これに抗議したベトナム海軍と衝突し勝利(ベトナムのボート3隻撃沈)
⑥ 永暑礁と付近の島を占領し、海軍部隊を駐留、建物など永久施設を構築
⑦ 1992年、米軍がフィリピンから撤退
⑧ 1995年、フィリピンが領有権を主張するミスチーフ礁に漁民の避難施設を建築
⑨ フィリピンが抗議するも、中国は航空機や海軍艦艇、海洋調査船を派遣し制圧
⑩ 1999年、ビルや大型の岸壁、ヘリポート等を建設して実効支配を開始
⑪ 2002年、中国とASEANは「南シナ海行動宣言」に調印、南シナ海の支配権を得る
② 1980年代、海洋調査船による海洋調査を開始
③ 1987年、海軍艦艇がこの海域での行動を開始
④ 1988年、ベトナム側の永暑礁に漁民を上陸させて中国の主権碑を設置
⑤ これに抗議したベトナム海軍と衝突し勝利(ベトナムのボート3隻撃沈)
⑥ 永暑礁と付近の島を占領し、海軍部隊を駐留、建物など永久施設を構築
⑦ 1992年、米軍がフィリピンから撤退
⑧ 1995年、フィリピンが領有権を主張するミスチーフ礁に漁民の避難施設を建築
⑨ フィリピンが抗議するも、中国は航空機や海軍艦艇、海洋調査船を派遣し制圧
⑩ 1999年、ビルや大型の岸壁、ヘリポート等を建設して実効支配を開始
⑪ 2002年、中国とASEANは「南シナ海行動宣言」に調印、南シナ海の支配権を得る
<東シナ海での日本の場合>
日本は世界で第6位の海洋大国である。
その周辺の海底には、広大で豊富な海洋資源が埋蔵されていることが知られて来た。
世界最大級と言われる〝メタンハイドレード〟や海底油田、レアアースなどである。
その周辺の海底には、広大で豊富な海洋資源が埋蔵されていることが知られて来た。
世界最大級と言われる〝メタンハイドレード〟や海底油田、レアアースなどである。
これらの資源の所有権を力ずくで主張しようとしている中国との経済的衝突は、既に始まっているのである。
中国が日本に隙あらば、東シナ海などの島々を占拠し実効支配を行おうとしていることは明らかである。
中国が日本に隙あらば、東シナ海などの島々を占拠し実効支配を行おうとしていることは明らかである。
上述の〝中国の南沙群島への進出と実効支配〟の方法がそのまま当てはまると考えられるのである。
例えば〝尖閣諸島〟の場合ならば、現状は〝海洋調査船が海洋調査を開始〟した段階と言うことになろうか。
否、中国海軍艦艇では無いが、〝中国巡視艇〟が頻繁にこの海域での行動を開始しているのである。
否、中国海軍艦艇では無いが、〝中国巡視艇〟が頻繁にこの海域での行動を開始しているのである。
次に来るのは、上述の手順に従えば〝漁民の上陸と主権碑を設置〟であろう。
そのタイミングはと言うと、これも上述の手順に従えば〝米軍の沖縄からの撤退〟の直後である。
そのタイミングはと言うと、これも上述の手順に従えば〝米軍の沖縄からの撤退〟の直後である。
周辺を常に警戒している海保の隙をついて、中国漁民を上陸させ主権碑を設置する。
この段階で中国海軍が出て来ないのは、日本の海自に先に出動させることでその口実を得る為かも知れない。
その時、日本政府は対応に窮するであろう。海自が出て行けば中国と戦争になる。
この段階で中国海軍が出て来ないのは、日本の海自に先に出動させることでその口実を得る為かも知れない。
その時、日本政府は対応に窮するであろう。海自が出て行けば中国と戦争になる。
尖閣諸島に上陸した漁民は、実は漁民の格好をした〝中国軍兵士〟である可能性が高い。
海保が彼らを逮捕しに行っても、その漁民は海保以上の武器(小火器)を持っていると考えるべきである。
従って、この対応には海自か陸自の特殊部隊が当たらねばならない。
そのときには、もう、中国海軍が尖閣諸島を遠巻きに取り囲んでいるかも知れない。
日本の海自が出動する面倒な手順を踏めば、そうなっている可能性が高いのである。
要するに、何も出来ないまま、尖閣諸島は中国が実効支配をしてしまうのである。
海保が彼らを逮捕しに行っても、その漁民は海保以上の武器(小火器)を持っていると考えるべきである。
従って、この対応には海自か陸自の特殊部隊が当たらねばならない。
そのときには、もう、中国海軍が尖閣諸島を遠巻きに取り囲んでいるかも知れない。
日本の海自が出動する面倒な手順を踏めば、そうなっている可能性が高いのである。
要するに、何も出来ないまま、尖閣諸島は中国が実効支配をしてしまうのである。
<抑止力としての軍事力>
東シナ海の南シナ海での場合と異なる点は、日本の防衛力の大きさである。
南シナ海周辺の台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシアの海軍力というのは殆ど無いにも等しい程のものなのである。
これに対して日本の海自(空自も含めて)の軍事力は、少なくとも現在では日本の方が優勢なのである。
南シナ海周辺の台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシアの海軍力というのは殆ど無いにも等しい程のものなのである。
これに対して日本の海自(空自も含めて)の軍事力は、少なくとも現在では日本の方が優勢なのである。
後は、実際に尖閣諸島などを守る防衛作戦の実行プログラムを組み、これを即座に遂行出来るシステムを作ることが必要なのではないだろうか。
海自や空自の尖閣諸島への緊急出動を国会で論議している暇などは無い。
ボタン一つで速やかに遂行出来るシステムが必要なのである。自衛隊の武器使用規定などの実戦的な見直しも必要かも知れない。
海自や空自の尖閣諸島への緊急出動を国会で論議している暇などは無い。
ボタン一つで速やかに遂行出来るシステムが必要なのである。自衛隊の武器使用規定などの実戦的な見直しも必要かも知れない。
上記の東シナ海でのシナリオでは〝米軍の沖縄撤退〟がきっかけになっている。
米軍は将来的には、中国の核ミサイルの射程内にある沖縄から後方のグアムへ基地を移転する可能性が高くなって来ている。
基地への核による第一撃を避け、後から軍事反攻を行うという戦略に変更する可能性が高い。
米軍は将来的には、中国の核ミサイルの射程内にある沖縄から後方のグアムへ基地を移転する可能性が高くなって来ている。
基地への核による第一撃を避け、後から軍事反攻を行うという戦略に変更する可能性が高い。
そうなると、有事の際の初期の軍事防衛での自衛隊の役割が重要になるのである。
もしも、自衛隊が何も出来なかったり、第一撃で壊滅的打撃を受けたりしたならば、その後の米軍による反攻も実行の可能性が無くなってしまうことになるのである。
もしも、自衛隊が何も出来なかったり、第一撃で壊滅的打撃を受けたりしたならば、その後の米軍による反攻も実行の可能性が無くなってしまうことになるのである。
<東シナ海の防衛には空母が必要である>
上述した様に、中国海軍は遠洋派遣型である〝空母機動部隊〟を中心にしたものに変革を行っている。
その空母は2012年にロシアから購入改修したものを就役させる予定になっていて、その後、同級の空母を計3隻保有する計画とされる。
これらは艦載機が60機クラスの大型の正規空母なのである。
また、将来、原子力空母の建造までも予定されているとされる。
その空母は2012年にロシアから購入改修したものを就役させる予定になっていて、その後、同級の空母を計3隻保有する計画とされる。
これらは艦載機が60機クラスの大型の正規空母なのである。
また、将来、原子力空母の建造までも予定されているとされる。
これに対し、日本の海自の護衛艦隊は対潜水艦戦を想定しているので、空母機動部隊に対しては殆ど無力だと言ってよい。
空自が本土の陸上基地から支援するという人もいるかも知れないが、これは無理である。
空母と陸上基地では即応能力が全く違うし、航続距離の問題が大きい。
空自が本土の陸上基地から支援するという人もいるかも知れないが、これは無理である。
空母と陸上基地では即応能力が全く違うし、航続距離の問題が大きい。
下記に紹介する記事は、海自がステルス戦闘攻撃機F-35Cを搭載する〝軽空母〟を保有した場合の〝海戦シミュレーション〟である。
筆者が独自に行ったものであるが、結論としては、F-35Cを12機程度搭載出来る軽空母1隻の護衛艦隊(イージス艦含む)で、艦載機60機の正規空母1隻の敵機動部隊を殲滅出来るというものであった。
是非、読んで頂き、東シナ海の防衛には空母が必要であるということを理解して頂きたいのである。
筆者が独自に行ったものであるが、結論としては、F-35Cを12機程度搭載出来る軽空母1隻の護衛艦隊(イージス艦含む)で、艦載機60機の正規空母1隻の敵機動部隊を殲滅出来るというものであった。
是非、読んで頂き、東シナ海の防衛には空母が必要であるということを理解して頂きたいのである。
■現代海戦における空母の優位性を検証する(1):http://blogs.yahoo.co.jp/ming_sunfield/43142546.html
■現代海戦における空母の優位性を検証する(2):http://blogs.yahoo.co.jp/ming_sunfield/43142576.html


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