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3DCG“Euro crisis”


ユーロ危機


 「ユーロ危機」が世界を襲っています。2008年の「リーマンショック」とは規模が違います。
 ギリシャやイタリア、スペイン、ポルトガルなどの国家財政の破綻です。
 これらの国の頭文字を並べて「PIGS」と呼ばれます。英語で〝ブタ〟です。

 銀行やファンドは預金や不動産などの負債を運用している機関です。
 近年ではこれが「デリバティブ」という再証券化証券の運用が主業務になって来ました。
 この「デリバティブ」が「リーマンショック」と同様に破綻を帰しているわけです。

 銀行やファンドでの「デリバティブ」での利益と損失は原理的に〝ゼロサム〟です。
 ところが銀行やファンドでは〝利益〟は決算に計上しますが〝損失〟は飛ばして来たわけです。
 これは08年以降、投資子会社との連結決算と保有資産の時価評価はしなくてよかったからです。
 
 このため、デリバティブではレバレッジが掛った巨大損を生む〝含み損〟だけが残ります。
 この〝含み損〟が08年以降で米欧で約16兆米ドル(1200兆円)もあると言われています。
 これは米欧の金融機関の自己資本(約200兆円)の実に6倍にも相当する巨額なのです。

 このことは金融機関への〝信用収縮〟を起こさせることになります。
 預金者が信用貨幣の価値に不信感を抱いた場合、その〝引き出し〟を行なうことになります。
 銀行に預金債権者が引き出しに殺到した場合、現金が不足し〝取り付け騒ぎ〟となります。
 
 上述の08年以降の時価評価をしなくてもよいという処置は、これを防ぐ目的がありました。
 大きな損失を公表すれば、封鎖を恐れる預金者からの取り付けにあって、銀行が潰れるからです。
 しかし、この〝含み損〟はいずれは決済を迫られます。そのときが〝世界金融危機〟なのです。

 総額で約300兆円のPIIGS債(アイルランド追加)は既に約150兆円の損失が出ているとされます。
 これは持ち手である欧州主要90行の自己資本(100兆円)を超え、債務超過にして破産させる金額です。
 このPIIGS債の満期償還を迎えるのが来年1月、ヘッジファンドへの償還が増えるのが12月です。

 ファンドへの投資資金の引き揚げには、普通、45日前の通告が必要です。
 2011年10月15日には、8月、9月の暴落で解約申し込みが殺到したと言われているようなのです。
 従って、恐るべき〝金融危機(恐慌)〟はこの12月か来年の1月にやって来る可能性が高いわけです。

 他に、ユーロ債のCDSを使ったユーロ債暴落への誘導が意図的に同時期に行われる可能性もあります。
 プレミアムを支払ってユーロ債のCDSを購入し、ユーロ債が暴落したときに高値で売り抜けるわけです。
 このユーロ債のCDSの購入が誘発的に大量に行われると、ユーロ債を暴落に誘導することになるのです。

 この〝金融危機(恐慌)〟はあまり間を置かずに米国や日本へも波及する筈です。
 日本の銀行は株価の暴落やドル安、ユーロ債券で総額で約40兆円の〝含み損〟を出しているとされます。
 日本は3月に金融機関の決算期が集中していて、この〝含み損〟を計上せざるを得ないでしょう。

 この時、日本政府がやることは〝ドル債の時価計上の停止〟の特別発動なのだと思います。
 これをやらないと、上述の銀行での〝取り付け騒ぎ〟となり、日本の〝金融崩壊〟が起こります。
 〝オリンバスの飛ばし損失〟が大問題になってますが、これと同じことを超法規的に大規模に行うのです。

 欧州統合は安全保障の問題であって、通貨統合の実験が失敗に終わるのではないかという見方があります。
 当初の約束である〝赤字3%以内、援助は無し、透明な会計〟は全て破られ、分裂の危機もささやかれます。
 ドイツとフランスの方針も対立し、そのフランスも特別会計で巨額の赤字を抱えているという噂があります。


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 CGはこのような「ユーロ危機」を風刺的に描いてみたものです。
 銀行に〝取り付け〟に殺到する群衆。国債の上の国旗はPIGSと並んでいます。
 来年早々にも起こると予想される〝世界金融恐慌〟を防ぐ手立ては無いものなのでしょうか。




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