外交問題を司法が判断?大失態の菅政権 |
<中国の報復に屈服し菅政権が白旗>
24日、尖閣諸島沖での中国漁船と海保巡視船の衝突事件は、検察による中国船長の超法規的な釈放という形で急転直下の幕引きとなった。
「悪質であり、国内法によって粛々と処理する」と語っていた菅首相や政府高官の発言が虚しく響く。
「悪質であり、国内法によって粛々と処理する」と語っていた菅首相や政府高官の発言が虚しく響く。
今回の事件で、検察が外交問題に配慮し単独で超法規的な判断を下すことなどは越権行為であって有り得ず、官邸が主導的に関与したことは明白である。
中国のエスカレートして行った〝報復〟に、政府が屈したというのが本当のところなのではないだろうか。
中国のエスカレートして行った〝報復〟に、政府が屈したというのが本当のところなのではないだろうか。
この日本政府の外交的敗北あるいは失態は、今後の日中関係に大きな影を残すことになる。
尖閣諸島に於ける中国漁船などの領海侵犯や同島の占拠など今後に起こり得る事態に対して、日本の法律に基づく巡視船などによる海上警備が及ばないという前例を作ってしまったわけである。
尖閣諸島に於ける中国漁船などの領海侵犯や同島の占拠など今後に起こり得る事態に対して、日本の法律に基づく巡視船などによる海上警備が及ばないという前例を作ってしまったわけである。
<予想外に強硬だった中国の報復>
日本側が中国漁船船長の拘留期限の延長を発表した後、中国はこれまでの対日報復処置に加えて〝日本人4人を拘束〟〝レアアースの対日輸出禁止の動き〟という報復カードを切って来た。
身柄を拘束された日本人4人は〝スパイ行為〟とみなされる可能性があり、報復処置として考えると〝死刑〟になる場合もあり得る。
レアアースについては、世界の生産量の9割強以上を中国(チベット地区)が占め、その約半分を日本が消費し、マグネットやレンズなどの生産に欠かせない原料なのであり、日本の先進産業が大きなダメージを被ることになる。
また、国連総会に出席していた中国の温家宝首相は、中国が領土問題で妥協することは有り得ないと強気の発言をしていた。
<このままエスカレートすると軍事衝突の可能性もあった>
中国政府は軍事衝突以外のあらゆる報復処置を考えていたのではないだろうか。
日米安保体制があるからで、軍事衝突になった場合には米軍が出て来る可能性があるからである。
日米安保体制があるからで、軍事衝突になった場合には米軍が出て来る可能性があるからである。
しかし中国では、政府とは別に軍部が暴発して行動を起こすという可能性もあったのである。
中国軍は政府の管轄下にはなく中国共産党の支配下にあるわけで、こうした軍部の暴走を中国政府は恐れていた筈である。
中国軍は政府の管轄下にはなく中国共産党の支配下にあるわけで、こうした軍部の暴走を中国政府は恐れていた筈である。
だからこそ、今回の中国政府の強硬な対日報復処置があったのであって、国内世論だけでなく軍部が暴走するのを抑えていたふしがあると思われるのである。
日本人4人の人質を取ったのが決め手であった可能性もあるのである。
スパイ容疑で死刑の可能性を持って中国国内法で処理するという報復処置は、日本側に対して効果が大きかったのではないか。
スパイ容疑で死刑の可能性を持って中国国内法で処理するという報復処置は、日本側に対して効果が大きかったのではないか。
<菅政権は事件への対応が甘く遅かった>
中国漁船と海保巡視船の衝突事件が発生したとき、海保の報告から政府が判断するのに1~2時間という十分な時間があったようである。
このとき、公務執行妨害の罪状での中国漁船の拿捕と船長の逮捕という強い姿勢を示したのであった。
このとき、公務執行妨害の罪状での中国漁船の拿捕と船長の逮捕という強い姿勢を示したのであった。
尖閣諸島近海に於ける日中の漁業協定は1997年に締結されたものがある。(漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定)
ただ、この協定では尖閣諸島の海域に於ける日中の明確な漁業協定は結ばれておらず、日中双方が自由に操業が出来る上に双方が自国の漁船しか取り締まることが出来ないことになっているのである。
ただ、この協定では尖閣諸島の海域に於ける日中の明確な漁業協定は結ばれておらず、日中双方が自由に操業が出来る上に双方が自国の漁船しか取り締まることが出来ないことになっているのである。
しかし、中国漁船が海保の巡視船に故意に体当たりして来たことが事実なら、公務執行妨害で逮捕というここまでは正しかったのだと思うのである。
日本政府は中国漁船が体当たりして来た証拠の〝ビデオ〟を持っているとされていた。
これをいち早く世界に公開して、国際世論を味方に付けるべきではなかったか。
これをいち早く世界に公開して、国際世論を味方に付けるべきではなかったか。
それから、外交問題が関わっている事案なのであって、国内法の司法手続きなどと言わず、最初から政府が前面に立って事態の処理に当たるべきであった。
軍事衝突にまで発展する可能性がある事件を、国内の検事や裁判官で処理することなど有り得ないのであって、これは最初から政治家や外交官や自衛官が判断をして処理すべき事案だったのである。
軍事衝突にまで発展する可能性がある事件を、国内の検事や裁判官で処理することなど有り得ないのであって、これは最初から政治家や外交官や自衛官が判断をして処理すべき事案だったのである。
1回目の拘留期限のときが最大のチャンスだったのではないだろうか。
この時に、拘留延長をせずに何らかの理由を付けて船長を釈放すべきだったのである。
釈放の理由は何でもよいのであって、それこそ、日中の外交上の観点からとかでそのときならよかったのである。
この時に、拘留延長をせずに何らかの理由を付けて船長を釈放すべきだったのである。
釈放の理由は何でもよいのであって、それこそ、日中の外交上の観点からとかでそのときならよかったのである。
全てが後手後手に回った形であって、軍事衝突寸前の状態にまでしてしまって、怖くなって慌てて降参の白旗を挙げたというのは、いかにも大失態だったのではないだろうか。
これでは、日本人や日本国の〝威信が丸潰れ〟になったと言わざるを得ないのである。
これでは、日本人や日本国の〝威信が丸潰れ〟になったと言わざるを得ないのである。
<ジャッジを下したのは結局〝米国〟か>
那覇地検による中国漁船船長の超法規的釈放の発表は、ニューヨークでの日米首脳会談のすぐ後に行われた。
この2日前頃から最高検などで手続きに入っていたらしいが、米国からの水面下での日本政府への申し入れがあったと推察されるのである。
この2日前頃から最高検などで手続きに入っていたらしいが、米国からの水面下での日本政府への申し入れがあったと推察されるのである。
恐らく、前原―クリントン会談の辺りに、米国からの申し入れで事前協議をしていたのではないだろうか。
米国がこの検察の決定に関わっていたことは、船長釈放の発表のすぐ後に米国高官がこれを支持する声明を出したことでも明らかである。
米国がこの検察の決定に関わっていたことは、船長釈放の発表のすぐ後に米国高官がこれを支持する声明を出したことでも明らかである。
<これで海保の巡視船は中国漁船を取り締まれなくなった>
今回の逮捕劇を実行した海保の方の落胆はかなり大きなものであろうと考える。
逮捕時に政府に報告し、その指示を仰いで逮捕をしたのであっただろうが、結果として面目の立たない敗北的な〝釈放〟に終わったのである。
逮捕時に政府に報告し、その指示を仰いで逮捕をしたのであっただろうが、結果として面目の立たない敗北的な〝釈放〟に終わったのである。
今後に同じ状況の事件が起こる可能性が高まったとも言え、今度は日本の法律での逮捕は無効になるという前例まで出来てしまったのである。
今後の尖閣諸島近海での海保の巡視船の活動はかなりな制約とプレッシャーを受けることになるのであろう。
今後の尖閣諸島近海での海保の巡視船の活動はかなりな制約とプレッシャーを受けることになるのであろう。
事件後、中国は尖閣諸島近海に〝漁業監視船〟を派遣しているという。
この漁業監視船は軍艦を改造したものと言われ、速射砲などの重火器を装備している。
この漁業監視船は軍艦を改造したものと言われ、速射砲などの重火器を装備している。
もしも、日本の海保の巡視船が中国の漁船をふたたび拿捕などしたならば、この漁業監視船が奪還しに攻撃して来ることが想像されるのである。
実際、南シナ海の南沙諸島などでは貧弱なインドシナ海軍に対して、このような行動が行われていると聞いている。
実際、南シナ海の南沙諸島などでは貧弱なインドシナ海軍に対して、このような行動が行われていると聞いている。
現在の現地の巡視船は機関銃しか装備しておらず、中国の漁業監視船に対してかなり非力なのである。
中国の漁業監視船と同等以上の火力を装備した巡視船を尖閣諸島に配備する必要があるようである。
中国の漁業監視船と同等以上の火力を装備した巡視船を尖閣諸島に配備する必要があるようである。
しかし、もっと抜本的な対策が必要なのであり、早いうちに魚釣島の灯台に人を常駐させて警備部隊を置くなどの行動が必要だと考えるのである。
<日本政府はしっかりとした戦略を構築せよ>
今回の事件では、日本政府の場当たり的な対応が目立ったのであった。
政権発足間もない菅政権なのではあるが、外交や国防は待ってはくれない。
政権発足間もない菅政権なのではあるが、外交や国防は待ってはくれない。
即急に、尖閣問題での戦略を練る必要がある。
外務省、国交省、防衛省(制服組を含む)、経産省、総務省など関係省庁の担当者を集め、予想される中国の行動に対する対応策を予めまとめ〝作戦計画表〟を作成して置くことが求められる。
緊急時には国防を含む対応会議を招集し、この作戦計画表に基づき迅速な行動を指令するシステムとするのである。
外務省、国交省、防衛省(制服組を含む)、経産省、総務省など関係省庁の担当者を集め、予想される中国の行動に対する対応策を予めまとめ〝作戦計画表〟を作成して置くことが求められる。
緊急時には国防を含む対応会議を招集し、この作戦計画表に基づき迅速な行動を指令するシステムとするのである。
今回の菅政権の大失態は〝内閣不信任案〟が出されて可決されてもおかしくないものである。
それ程に酷い外交的な大失態であったと言わざるを得ず、国民の敗北感と失望感ははかり知れない。
筆者としては、政権の誰かが責任を取る必要があると考えている。
国連総会で菅首相が不在だった中では、内閣官房長官が中心となって動いていたのだろうか。
それ程に酷い外交的な大失態であったと言わざるを得ず、国民の敗北感と失望感ははかり知れない。
筆者としては、政権の誰かが責任を取る必要があると考えている。
国連総会で菅首相が不在だった中では、内閣官房長官が中心となって動いていたのだろうか。
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