日本決勝T進出!奇跡が起きている

 日本 3-1 デンマーク(予選E組第3戦)

 日本の快勝だった。
 〝本田の無回転FK〝を皮切りに、〝遠藤の芸術的FK〟〝岡崎のFW初ゴール〟とこの大舞台で完璧なまでに得点を重ね日本選手は決勝トーナメントへの勝利を掴み取った。

 奇跡が起きている。
 日本代表の快進撃に世界が驚いている、そして称賛している。
 果たして世界中の誰が、今の日本代表のW杯での活躍を予想していたであろうか。

 しかも、カメルーン戦、オランダ戦、デンマーク戦と試合を重ねるに連れて、益々調子を上げているのである。
 この原動力はいったい何なのであろうか。

 本田圭佑が大活躍である。
 1トップに抜擢され、カメルーン戦で初ゴールを決め、デンマーク戦では無回転FKを決め、遠藤のFKや岡崎のゴールにも貢献している。
 この本田が日本躍進の原動力になっていることは間違いない。

 そして、この本田がまさに〝水を得た魚〟のように、日本の中心選手、リーダーとして活躍し、彼自身も今大きく成長をしているのだと思う。
 彼にはこれを裏付ける実績を残してもいるのである。
 オランダのVVVフェンロでリーダーを務めチームを2部リーグ優勝に導いているし、今年移籍したロシアのCSKAモスクワではやはりリーダーを務めチームをロシア史上初のCLベスト8へ導いたのである。

 彼のリーダーとしての度量を示す場面は、カメルーン戦やデンマーク戦でいくつか見られた。
 まず、2試合での先制ゴールである。
 リーダーは自身の能力を示してチームに貢献しなくてはならない。
 それから、自分だけが目立ってスタンドプレーをするのではなく、仲間に手柄を立てさせることも忘れてはならない。
 こうしたことが日本代表のチームとしての戦う力と勝利の原動力になっていると思うのである。
 オランダ戦での遠藤の芸術的なFKと岡崎のゴールには、本田が大きく貢献していたのである。

 だが、彼がいかにチームリーダーとして有能であっても、彼だけの力では〝個性的な日本代表たち〟をまとめて行ける筈がないとも思うのである。

 これには出番を失った俊輔や楢崎、精神的支柱になっている川口、影のチームリーダーの中澤の存在が大きいのではないだろうか。
 実際に、彼らが献身的にチームをまとめ〝チーム日本代表〟を作り上げているのだと思うのである。
 日本の大躍進の原動力には、こうした一丸となった日本らしいチーム作りが大きく貢献しているのであろう。

 もう一つ、忘れてはいけない原動力がある。
 それは、日本チームの各選手がそれぞれの役割を完璧に果たしていることではないだろうか。

 初戦から採用した〝4-1-4-1〟のシステムなのだが、アンカーになることでこれも〝水を得た魚〟のように大活躍している阿部の存在も大きい。
 彼は2ボランチにしたときよりも明らかにアンカーの方が縦横にDFをカバーしている。
 恐らくだが、彼は2ボランチになると連携で譲り合ったり遠慮したりしてしまうのではないだろうか。

 豊富な運動量とフィジカルで、相手のエトーなどの中心選手を徹底的に抑え込む長友の活躍。
 この長友と連携しての献身的な守備や、時折前に飛び出してシュートを放つ大久保の活躍も見逃せない。

 そして、何と言っても忘れてならないのが右サイドの攻撃の起点になっている松井の存在である。
 相手DFにボールを触らせないアクロバチックなボール捌きで、攻撃のチャンスメイクをしていて、カメルーン戦では本田のゴールのアシストを記録している。

 更には、新守護神GK川島の存在である。
 もう言うまでも無く完全に正GKとして機能していて、彼なしでは今の日本代表の躍進は無かった筈だ。
 それとDFの中澤と闘莉王の体を張った守備も、デンマーク戦でも何度も見せ場を作っていたね。

 それから、前線のリーダーの存在である。
 ゲームリーダーとしての長谷部の存在もあるが、特に遠藤の存在に注目したい。

 デンマーク戦でのことである。
 試合開始直後からデンマークの激しい攻撃に晒されていたが、実は日本代表はメンバーは同じだがシステムを変えていたようなのである。

 4-1-4-1は守備のときには4-3-2-1に、攻撃のときには4-1-2-3に化けるシンプルなシステムである。
 これをデンマーク戦の開始時には、4-2-3-1という2ボランチのシステムに変更していたというのである。

 中盤の前線が薄くなってボールを奪われ、アンカーが機能しなくなり、デンマークの猛攻に晒されてしまっていたのである。
 失点も時間の問題かと思われたのであった。

 このことに気がついたのが遠藤だったのである。
 遠藤は岡田監督に駆け寄り、システムを元に戻してよいかを聞きに行った。
 というより、4-1-4-1に戻すように丁重に監督に〝進言〟したのである。

 このシステム変更によって直後に守備が安定し始め、本田のFKのチャンスを得たのであった。
 更に遠藤自身も、2回目のFKのチャンスであの芸術的なFKを決めたのであった。

 この試合で遠藤は、アジア杯のときにコート変更をさせてPK戦を制した宮本恒靖のような働きをしたと言っても過言ではあるまい。
 〝遠藤カントク〟と呼びたいほどである。

 こうした日本代表各選手の自主性とチームの強固な団結力が、世界中の誰もから不振と見られていた日本代表の奇跡的な快進撃の原動力になっていると思うのである。

 個人的な話になるが、昨年快進撃をしてJ2優勝と天皇杯ベスト4を成した〝ベガルタ仙台〟を見ているような気がするのである。
 ベガルタも個々の選手はそれ程有名な選手が居なかったのだが〝チーム力〟によってあの快進撃をしたのである。

 日本代表に対して、個々の選手が云々は失礼な話だと考え始めている。
 この奇跡的快進撃をする日本人選手に、プレミアリーグやスペインリーグからビッグなオファーが来そうなのである。

 本田は勿論のこと、遠藤や長友、闘莉王、岡崎に一流スカウトが獲得を目指しているのだという。
 もしかしたら、W杯後のJリーグはガンバも名古屋もF東京もエスパルスも大幅な戦力ダウンに見舞われるのかも知れない。
 W杯後に〝ベガサポ〟に戻る身としては、少しほくそ笑むところなのかも知れない。

 既に決勝トーナメントは始まっている。
 日本の快進撃はどこまで続くのであろう。

 日本は試合を重ねるに連れて確実に強くなっている。
 それはユーロ2008のときのギリシアのようである。(ギリシアのようになっては困る面もあるのだが)

 ヨーロッパの各新聞は、ヨーロッパ国チームの不振もあり、個々の選手に重きを置いたチーム作りよりも日本のようなチームワークに重点を置いた戦い方を称賛する動きまでが出て来ているのである。

 日本の決勝Tでの最初の相手は南米のパラグアイである。
 昨日、韓国は南米のウルグアイに惜敗、否、完敗した。
 日本はこの試合を大いに分析し勝利のためのプランを早急に練るべきである。

 何故なら、日本と韓国、パラグアイとウルグアイが非常によく似たチームだからである。
 パラグアイもウルグアイと同じく堅守速攻型で、個人技で突破して得点するチームである。
 FWの能力が高く予測がつかないシュートを放つ。韓国の唯一の得点がFKからだったことも参考になるだろう。

 日本代表には奇跡的な快進撃のムードに乗って、しかし慢心せずに、確実に勝てる作戦と自信の準備をしてパラグアイに勝利し、初のベスト8進出を果たして欲しいものである。

 ところで、この先の対戦相手を考えると堪らなくなるのである。
 パラグアイに勝ったとすると、2回戦では〝ポルトガル〟だろうし、準決勝では〝ブラジル〟決勝では〝アルゼンチン〟なんて予想の組み合わせである。
 もう想像しただけで堪らないのである、そしてイケイケ日本なのである。




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