鳩山首相の責任は政権を維持することである

 <高い支持率を維持している鳩山政権>

 発足して3ヶ月目に入ろうとしている鳩山政権は、依然60%以上という高い内閣支持率を維持している。
 明治以来の本格的な政権交代劇で発足してから、その政権公約に則った革新的な政策を打ち出して来ている。
 その中でも、取り分け「事業仕分け」に対する国民の期待と支持が高い(7割以上が支持)ようである。
 来年度の予算編成に於いて、公開の場で政治主導(民間の仕分け人を含む)で無駄な予算をカットして行くという作業である。

 事業仕分けは、その方法や掛ける時間や結果について、一部の当事者や専門家から批判も出ているようではある。 
 しかし、これまで長い間、ごく一部の担当者が密室で更に短い時間で決めていたことに比べると革新的な進歩であると言えるのではないだろうか。
 事業仕分けは国政レベルでは初めての試みである。何事も、初期トラブルはつき物だと言える。
 今後、一部の廃止(候補)事業についての政治的判断による復活もあるのかも知れない。
 景気が悪く国家予算がひっ迫する中、無駄な予算をカットするという事業仕分けが国民から支持を受けるのは当然なのであろう。


 <鳩山偽装献金問題について>

 さて本題に入りたい。最近、報道が多くなって来ている「鳩山偽装献金問題」についてである。
 この問題は、鳩山首相の政治資金管理団体が故人などの名前を使って嘘の個人献金があったように偽装していたという問題である。
 その総額は年度をまたいで3億円に上り、鳩山首相の元秘書がやっていたと報道されている。
 また、この資金の出所は鳩山首相の個人資産が2億円で、最近、首相の母親からの資金提供(貸与)が1億円あったと報道もされている。
 政治資金規正法に触れる行為であることが問われており、捜査関係者からのリークによれば近くその元秘書を在宅起訴する方針なのだという。

 政治資金規正法の本来の目的は、政治家に対する特定の企業・団体や個人からの多額の資金提供で政治が歪まないようにすることなのだと思っている。
 即ち、大臣など有力政治家やその周辺への受託収賄や賄賂などというものを無くすというのが、この法律の趣旨なのである。
 その意味からすると、鳩山首相の偽装献金問題は法に触れる可能性はあるが、資金の供与は自己資金であったり母親からの提供であったり「悪質性は無い」(捜査関係者)とも言われている。


 <民主党党首への国策捜査が目立つ>

 昨年から民主党党首への東京地検特捜部による捜査が目立っている。
 ついこの間、政権奪取間近と言われていた小沢前党首の元秘書の逮捕があった。

 小沢前党首の元秘書の逮捕は、衆院選を間近にした時期といい「国策捜査」であったと断言出来る。
 このことについては、詳しい説明が必要だが字数が限られているので僕のブログの過去の記事を読んで頂きたい。


過去ブログ記事「小沢民主党党首の秘書の逮捕(1)」→ http://blogs.yahoo.co.jp/ming_sunfield/39245729.html
「新生「鳩山民主党」へ」→ http://blogs.yahoo.co.jp/ming_sunfield/40456636.html


 小沢さんが辞任して鳩山さんが党首になると、今度は即座に「鳩山偽装献金問題」の捜査が始まったのである。
 これが偶然だと言えるだろうか。
 東京地検特捜部による「民主党潰し」の疑いが強いのである。
 


 <地検特捜部の政治的な中立・公正は疑わしい>

 小沢前党首の元秘書の逮捕の際、同じ嫌疑で自民党の二階前経産大臣の名前が挙がったが、嫌疑不十分でお咎めなしであった。
 二階前経産大臣の場合、同じビルの中に資金提供をする側と二階前経産大臣の事務所が入っていたのである。
 恐らく、地検特捜部でない、別の民主党系の捜査機関が捜査したなら別の結果が出ただろうと思っている。

 今回の「鳩山偽装献金問題」についても同様のことが言えると思うのである。
 鳩山首相に母親から約1億円の資金提供(貸与)があったとされるのだが、弟である鳩山邦雄元総務大臣にも同じことがなされていた筈である。
 何故なら、親の子供の対する平等感覚からいってそう考えるのが普通だろうからである。兄に対してだけ1億円というのは考えられないのである。
 しかし、地検特捜部は自民党の邦雄氏の方に対しては、捜査をする意思すら感じられないのである。



 <地検特捜部は霞ヶ関の一部であり旧田中派とは敵同士>

 地検特捜部は法務省管轄のれっきとした霞ヶ関の官僚組織の一部である。
 そして、民主党はその霞ヶ関に対して解体的改革をしようとしているのである。
 言わば、敵対関係にあると言っていい。
 地検特捜部という組織が、敵である民主党を捜査しているという構図なのである。

 更にである、田中元首相の逮捕以来、東京地検特捜部と自民党の旧田中派は敵対関係にあるということである。
 小沢民主党幹事長も鳩山首相も自民党の旧田中派の出身である。
 ここにも地検特捜部による因縁の対決という構図が見て取れるのである。



 <個人的には米国の関与の疑いも持っている>

 田中元首相のロッキード事件での逮捕劇には明らかに米国が関与していた。
 全ての証拠の情報提供が米国発だったのである。
 それを地検特捜部は何ひとつ疑うわけでもなく、証拠として採用したのである。
 通常、外国からの犯罪の指摘ならば日本国の治外法権でもって、国益でもって判断されるべき事案であった筈である。
 それなのに、地検特捜部は一国の総理大臣を外国からの指摘だけで逮捕してしまったのである。

 当時、田中元首相は中国への国交正常化など中国への接近と進出に積極的であった。
 近年の中国の経済発展を見越し、中国との経済協力を強化して日本の発展を画策していたのであった。
 これを快く思わなかったのが米国なのである。
 中国進出に於いて、田中元首相は米国を完全に出し抜いていたのである。
 そこで米国が田中政権を潰しに来たのが、ロッキード事件の真相であったと理解している。
 この件についても詳しい説明が必要である。僕の過去のブログ記事を読んで頂きたい。


過去ブログ記事「民主党小沢代表の秘書逮捕(2)」→ http://blogs.yahoo.co.jp/ming_sunfield/39245743.html


 丁度、今の鳩山政権が「東アジア経済共同体」を提唱し、そこに米国が割り込もうして来ているのに状況が似ているのである。
 勿論、今のオバマ政権を批判するつもりは全く無い。
 米国と言えども、政権が代わったとは言っても米国を支配しているのは巨大なユダヤ財閥だろうし、CIAなどの国家の中枢機関も代わってはいないのである。
 ケネディ元大統領の暗殺には、近年、CIAなどの米国国家機関の積極的関与があったとも言われている。
 そしてこの日本は敗戦以来、GHQによる支配からまだ完全には抜け出してはいないと思われるのである。
 即ち、米国に不都合な日本のリーダーは政治的に失脚させられるの可能性が高いのである。
 逆に、米国にべったりの中曽根政権や小泉政権は長く続いているのである。



 <安部元首相の「戦後レジームからの脱却」も潰された>

 長期に亘って安定していた小泉政権は、安部元首相に政権をバトンタッチした。
 ここには小泉元首相の反省と狙いがあったのだと推測している。米国にべったりであった反省と、安部元首相による方向転換である。
 安部元首相は小泉政権を引継ぎながらも「戦後レジームからの脱却」を唱えていたのである。
 この言葉の意味は「占領期に決められたレジームからの脱却」ということである。
 即ち、安部元首相はGHQ以来の米国支配構造からの脱却を唱えていたのである。

 その後、70%という高い支持率を持って誕生した安部政権はたった1年で崩壊したのであった。
 僕は米国が「戦後レジームからの脱却」に反発して、何らかの手段で安部政権へお灸を据えたという疑いを持っているのである。
 同時期、米国の民主党からこの言葉に対して「許さない」との強い批判が出ていたのである。



 <国民が団結して新しい日本を造ることが大切>

 政治的に偏った捜査を続ける東京地検特捜部には反対だし、戦後レジームからの脱却には賛成である。
 東京地検特捜部については、このようなことを続けて行けば国民からの信頼はなくなるだろうし、相手にすらされなくなるだろうと思うのである。
 個人的には、今の地検特捜部は解体し、新たに公正で中立な同様の組織を別の人間で作るべきだと考えている。
 民主党は法務省という同部の管轄機関を治めているのだから、適当な理由を挙げて国会でもって法案を作って通してそのようにするべきである。

 自民党ももっと本質的な政策論議で民主党と対峙して欲しい気がするのであるが、言い過ぎだろうか。
 戦後の日本、冷戦後の日本にとって、戦後レジームからの脱却は必要な通過点な筈である。
 勿論、これは米国を今後も重要なパートナーとした上での考えであって、対等な関係ということを意味している。

 現在の東京地検特捜部としては、鳩山首相の元秘書が逮捕または在宅起訴されれば首相を辞任をするだろうという見込みなのだろうが、そうさせてはならない。
 鳩山首相は石にしがみ付いても政権を維持しなくてはならない。
 それが彼の国民に対する責任ではないだろうか。
 細川政権にしても、安部政権にしても、首相が政権を放り投げたその後は政権崩壊しているのである。
 地検特捜部などに負けてはならない。彼らは公正でも中立でもないのである。
 鳩山首相、戦後の日本の民主主義を再構築するために死んでも政権維持を遂げなければならない。