| G20金融サミットで思う |
金融サミット閉幕 共同宣言・行動計画発表 金融市場改革で一致 11月16日8時46分配信 産経新聞 【ワシントン=渡辺浩生】世界的な金融危機の克服に向け、ワシントンで開かれた緊急首脳会合(金融サミット)は15日午後(日本時間16日未明)、2日間の討議の成果を盛り込んだ共同宣言と実行すべき具体策を盛り込んだ行動計画を発表して閉幕した。成長回復のために各国が状況に応じて景気刺激の財政政策をとることや、危機再発防止のため金融市場・商品の透明性強化、格付け機関への監督の強化などで合意した。金融危機で財政難に陥った新興国・途上国を支援するため、国際通貨基金(IMF)や世界銀行の機能強化でも合意した。 今回のサミットには、日米欧の主要国に中国やインドなど新興国を含めた20カ国・地域の首脳が初めて参加した。 共同宣言では、まず、米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発した金融危機の原因について、いくつかの先進国の政策・規制当局がリスクを適切に評価しなかったと指摘する一方、危機の背景には一貫性のないマクロ経済政策や不十分な構造改革があったとも指摘した。 また、焦点の金融市場改革では、(1)金融市場・商品の透明性および説明責任の強化(2)健全な規制の拡大(3)投資家保護など公正性の促進(4)国際連携の強化と国際金融機関の改革-といった共通原則で合意した。 そのうえで、首脳らは来年3月までに各国が実行すべき具体策とそれ以降の中期的措置を盛り込んだ「行動計画」を発表。当面の措置として、国境を越えて活動する大手金融機関への監督の枠組みの設立、主要国の金融当局からなる「金融安定化フォーラム(FSF)」のメンバー拡大、IMF、世銀の必要に応じた増資と融資制度の見直しなどを列記。中期的には、現状規制されていない機関・商品・市場に対する監督強化、格付け会社の登録制の導入、新興国の急成長による世界経済の比重変化を繁栄したIMF・世銀の抜本改革などを目指すとした。 各国は共同宣言や行動計画に盛り込んだ具体策の進展を点検するため、来年4月30日までに次回会合を開くことで一致した。
今回ワシントンで開かれたG7プラス発展途上国の20カ国による緊急首脳会合(金融サミット)は、全世界規模に拡散した米国発の未曾有の金融危機の克服のために開催されたものである。
当初は、1944年の「ブレトンウッズ体制の再構築」を叫ぶフランスや英国の欧州勢とドル基軸通貨制の維持をしたい米国の対立が懸念されたりしたが、「共同宣言」と「行動計画」などを発表して閉幕した。
各国は共同宣言や行動計画に盛り込んだ具体策の進展を点検するため、来年4月30日までに次回会合を開くことで一致したという。
当初は、1944年の「ブレトンウッズ体制の再構築」を叫ぶフランスや英国の欧州勢とドル基軸通貨制の維持をしたい米国の対立が懸念されたりしたが、「共同宣言」と「行動計画」などを発表して閉幕した。
各国は共同宣言や行動計画に盛り込んだ具体策の進展を点検するため、来年4月30日までに次回会合を開くことで一致したという。
金融市場改革に関する各国の合意の要点は以下のものである。
(1)金融市場・商品の透明性および説明責任の強化
(2)健全な規制の拡大
(3)投資家保護など公正性の促進
(4)国際連携の強化と国際金融機関の改革
(2)健全な規制の拡大
(3)投資家保護など公正性の促進
(4)国際連携の強化と国際金融機関の改革
一見、各国首脳が世界的な金融危機の克服に向けて足並みを揃えたようにも見えるが、実体は金融危機の克服という方向付けに合意しただけに過ぎない様にも見えるのである。
まず、金融危機発生の原因である米国の大統領である。
来年1月に就任が決まっている「オバマ次期大統領」が出席していない。
あと70日程で政権を去るブッシュ大統領の政策遂行能力や指導力は殆ど無いと言ってよく、来年1月以降に方針が大幅に変更される可能性が高いと考えられるのである。
もしも、ブッシュ大統領の政策後継者と言えるマケイン氏が当選していれば、今回の金融サミットも大いに盛り上がり、或いは盛り上がり過ぎて決裂などをしたかも知れない。
だが、2ケ月後からのこの金融危機の主人公である「オバマ次期大統領」が居ない金融サミットは、対立国にとっても相手の出方が分からないのであり対抗のしようも無かったのではないだろうか。
来年1月に就任が決まっている「オバマ次期大統領」が出席していない。
あと70日程で政権を去るブッシュ大統領の政策遂行能力や指導力は殆ど無いと言ってよく、来年1月以降に方針が大幅に変更される可能性が高いと考えられるのである。
もしも、ブッシュ大統領の政策後継者と言えるマケイン氏が当選していれば、今回の金融サミットも大いに盛り上がり、或いは盛り上がり過ぎて決裂などをしたかも知れない。
だが、2ケ月後からのこの金融危機の主人公である「オバマ次期大統領」が居ない金融サミットは、対立国にとっても相手の出方が分からないのであり対抗のしようも無かったのではないだろうか。
だから、今回、各国は上記のようなごく当たり前の「共同宣言」に留め、次回の金融サミットを来年1月以降4月30日までに開催すると決めたのであろう。
つまり、全ては来年1月の「オバマ新大統領」の就任以降に持ち越されたのである。
つまり、全ては来年1月の「オバマ新大統領」の就任以降に持ち越されたのである。
この金融サミットの中にあって、日本だけが「IMFと世界銀行に10兆円を支出」とか「日本の主導で会議が進められた」とか「決裂は避けられた」とか言っているような気がしている。
他の参加国は次回の金融サミットまでに具体策をまとめて来るのであって、今回はそのことを決めたのである。
他の参加国は次回の金融サミットまでに具体策をまとめて来るのであって、今回はそのことを決めたのである。
僕には、どうも麻生首相が手柄を焦り過ぎていたのではないかという気がしてならないのだ。
国内に於いても、後で混乱を招いているところの、思いつきによる拙速と思える「定額給付金」などの「緊急経済対策」の発表に通じるものがあるのではないだろうか。
オバマ新政権の方針や動きを見てから、これに対応した「十分に練られた緻密な政策」の発表で良かったと思うのである。
国内に於いても、後で混乱を招いているところの、思いつきによる拙速と思える「定額給付金」などの「緊急経済対策」の発表に通じるものがあるのではないだろうか。
オバマ新政権の方針や動きを見てから、これに対応した「十分に練られた緻密な政策」の発表で良かったと思うのである。
その「オバマ次期大統領」も、現在はこうした金融危機克服のための政策を練り上げている最中であると考えられる。
その大方針や具体策がまとまる前に、彼がこの金融サミットへ出て来なかったのは賢明だったのではないだろうか。
もしも彼が出席をしていたら、ドルの基軸通貨の終焉を主張するフランスのサルコジ大統領らによる論争に巻き込まれてしまって、会議自体が混乱していたかも知れない。
その大方針や具体策がまとまる前に、彼がこの金融サミットへ出て来なかったのは賢明だったのではないだろうか。
もしも彼が出席をしていたら、ドルの基軸通貨の終焉を主張するフランスのサルコジ大統領らによる論争に巻き込まれてしまって、会議自体が混乱していたかも知れない。
ところで、「ブレトンウッズ会議」とは、1944年7月に連合国44カ国が米国のニューハンプシャー州ブレトンウッズに集まって開かれた会議で、第二次世界大戦後の国際通貨体制について話し合われ、国際通貨基金(IMF)協定などが結ばれたものである。
国際通貨基金(IMF)は、金だけを国際通貨とする金本位制ではなく、ドルを基軸通貨とする制度を作り、ドルを金とならぶ国際通貨としたのである。
国際通貨基金(IMF)は、金だけを国際通貨とする金本位制ではなく、ドルを基軸通貨とする制度を作り、ドルを金とならぶ国際通貨としたのである。
しかし、当初、英国などは経済学者ケインズが唱えた国際通貨「バンコール」の採用を求めていたが、米国の反対によって実現しなかったという経緯があったのである。
今回の金融サミットでは、フランスのサルコジ大統領や英国のブラウン首相が、この「バンコール」の復活を主張するものと見られていた。
このドル覇権体制の崩壊から、ドルに代わる新しい国際決済通貨「バンコール」を発行するという考え方は、将来の「世界政府」というものに通じるものである。
今回の金融サミットでは、フランスのサルコジ大統領や英国のブラウン首相が、この「バンコール」の復活を主張するものと見られていた。
このドル覇権体制の崩壊から、ドルに代わる新しい国際決済通貨「バンコール」を発行するという考え方は、将来の「世界政府」というものに通じるものである。
現にEUでは「ユーロ」という通貨統合がなされており、連合政府があり軍隊も統合に近い状態にある。
しかし、この考えの裏には、米国一国の覇権から英国やフランスの力も伸ばし復権したいという思惑があるのも事実であろう。
しかし、この考えの裏には、米国一国の覇権から英国やフランスの力も伸ばし復権したいという思惑があるのも事実であろう。
米国はドル基軸通貨体制を維持したいだろうが、今回の金融危機で米国の地位が揺らぐことは確実であろうし、石油産油国などで採られている「ドルペッグ制」がいつ廃止されてもおかしくない状況にもあるのである。
やはり問題は「オバマ次期大統領」がどういう方針を打ち出して来るかに掛かっているのではないだろうか。
オバマ次期政権が、米国金融界や米産業界の再生をどのようにして打ち出して来るかである。そのとき、ドル基軸通貨体制の存命をどのように図って来るのかなのである。
オバマ次期政権が、米国金融界や米産業界の再生をどのようにして打ち出して来るかである。そのとき、ドル基軸通貨体制の存命をどのように図って来るのかなのである。
因みに、1929年の世界大恐慌の際に、ときのフランクリン・ルーズベルト米大統領は、ケインズが唱えた「需要が供給を創出する」という基本理論に基づいて「ニューディール政策」を実行している。
オバマ次期大統領も、これまで無視されて来た橋や道路などのインフラ整備の公共投資や、環境エネルギー投資による雇用創出策を新政権で実現させる考えを示しており、同様の政策が進められるものと考えられる。
オバマ次期大統領も、これまで無視されて来た橋や道路などのインフラ整備の公共投資や、環境エネルギー投資による雇用創出策を新政権で実現させる考えを示しており、同様の政策が進められるものと考えられる。
ケインズ経済学では有効需要の原理に基づく失業対策として、減税や公共投資などの政策によって企業に投資の増大を行わせるのが有効だとされている。
米国の近年の自由市場放任の経済学はデリバディブやレバレッジなどを生み出し遂には崩壊したが、再びケインズ経済学の修正資本主義に回帰するのであろうか。
今後また誰かが新たな自由市場の経済学を組み立てて来るのだろうが、少なくともそれまではこの回帰は続くのであろう。
米国の近年の自由市場放任の経済学はデリバディブやレバレッジなどを生み出し遂には崩壊したが、再びケインズ経済学の修正資本主義に回帰するのであろうか。
今後また誰かが新たな自由市場の経済学を組み立てて来るのだろうが、少なくともそれまではこの回帰は続くのであろう。
繰り返しになるが、今回の金融サミットは、オバマ次期大統領の発足直後の4月30日までに本格的な同会議の開催を決めたものである。
そのときに各国の政策が出揃い、オバマ次期政権の政策に対して、英国やフランス、それに発展途上国の意見がぶつかりあることになる。
IMFのドル基軸通貨制についても議論が交わされることになるのである。
そのときに各国の政策が出揃い、オバマ次期政権の政策に対して、英国やフランス、それに発展途上国の意見がぶつかりあることになる。
IMFのドル基軸通貨制についても議論が交わされることになるのである。
そのとき、ドルを5千億ドル以上も保有している日本としてはドルの暴落は避けたい。
だが、同じく5千億ドル以上も保有している中国は、ドル基軸通貨制について見切りを付けるかも知れない。
英国は国際通貨「バンコール」によって、発展途上国の資金を自国に集めたい。
また、フランスのサルコジ大統領などEUでは、国際通貨「バンコール」を基にEUに有利になる世界政府を目指したい。
発展途上国は、自国の金融危機を先進国からの支援によって切り抜けたい。
などの意見相違や利害関係での対立が表面化するのである。
だが、同じく5千億ドル以上も保有している中国は、ドル基軸通貨制について見切りを付けるかも知れない。
英国は国際通貨「バンコール」によって、発展途上国の資金を自国に集めたい。
また、フランスのサルコジ大統領などEUでは、国際通貨「バンコール」を基にEUに有利になる世界政府を目指したい。
発展途上国は、自国の金融危機を先進国からの支援によって切り抜けたい。
などの意見相違や利害関係での対立が表面化するのである。
G20金融サミットは、米国のオバマ次期大統領の発足後に大きな進展となるのか、それとも各国の利害の対立によって決裂となってしまうのか注目されるのである。
そこでは金融危機に対する全世界の協力が重要なのであり、その意味からオバマ次期大統領の今後の言動がその鍵を握っていると言っても過言ではあるまい。
金融危機により衰退し世界の覇者から次第に転落して行く米国と、かつての栄光の復権を狙う英国などのEU諸国、大きな経済発展を狙う発展途上国の利害対立を、G20金融サミットは国際社会としてどのようにまとめて行くのか。
このG20金融サミットは、今後の世界経済の行方を決める重要な会議なのかも知れない。
そこでは金融危機に対する全世界の協力が重要なのであり、その意味からオバマ次期大統領の今後の言動がその鍵を握っていると言っても過言ではあるまい。
金融危機により衰退し世界の覇者から次第に転落して行く米国と、かつての栄光の復権を狙う英国などのEU諸国、大きな経済発展を狙う発展途上国の利害対立を、G20金融サミットは国際社会としてどのようにまとめて行くのか。
このG20金融サミットは、今後の世界経済の行方を決める重要な会議なのかも知れない。
このような重要な国際会議に赴く日本政府はというと、哲学が見えず思いつきのような政策を発表する麻生首相では、国内の経済対策も含めて信頼と期待が持てないというのが感想である。


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