変な表札

先日、「変な表札」を見つけました。

知り合いの家に行ったときのことです。

そこは市営アパートなのですが、階段を上がる途中の3階にありました。

「ヴァイオリニスト○○☐☐  チェリスト  △子」

ワープロでカラーで印刷してあって、かなり目立ちました。

何だーこれ?・・・そして、ちょっとディレイして、不覚にも噴き出してしまったのです。

普通、「ヴァイオリニスト」とか「チェリスト」とかなんて表札に書くかよ!

音楽教室でもやっているのだったらわかるけど、どうもそうでもないらしのだ。

たぶん、どっかの音大でも出て、どっかのオーケストラにでも所属しているのだと思うのだけど、やっぱりあり得ない表札だなあと思いました。

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クラシックの本場のドイツとかオーストリアではこんな風に表札に書くのだろうか?

向こうは何しろクラシックの底辺が広い。コンサートの回数でも日本の比ではないだろう。

したがって、オーケストラも多いから、プロの音楽家になれる人の数も多いわけだ。

また、音楽教室の教師もプロに含めれば、さらに膨大なプロの音楽家がいることになる。

日本でもピアノは習っている人は多いのだと思う。だから、教師を含めたピアニスト(ピアノで生活している人)はかなり多いのだと思うのである。

しかし、ヴァイオリンやチェロはピアノに比べ習っている人の数が少なく、したがって、その教師というのもなかなか成り立たないのではないだろうか。

オーケストラの数も少ない日本はヴァイオリニストとかチェリストにとって、あまり良い環境とは言いがたいのだと思うのである。

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クラシック音楽のプロや愛好家の構造は「サッカー」の場合に良く似ているような気がするのである。

サッカーにはワールドクラスを頂点に、日本代表クラスがあって、J1選手、J2選手のプロたちがいる。

そして、その下にはセミプロのJFCやアマチュアサッカークラブ、そして大学のクラブ、高校のクラブ、少年サッカークラブなんかがある。

そして何よりも、プロ選手にくっついて熱狂的に応援をしてやまない「サポーター」たちがいるのである。

それから、競技場へ観戦に行く人たちがいて、TVで観る人たちがいる。

サッカーは、大体、こういった「ピラミッド」構造になっている。

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クラシック音楽のプロや愛好家の構造も大体同じなのだと思うのです。

大事なことは、このクラシック文化を支えているのは、このピラミッドの底辺の人たちだと思われるということなのです。

彼らが居なければプロの音楽家は存在出来ないし、逆に、彼らが多くなればプロになれる音楽家も多くなるわけです。

どんなに優秀な音楽家であっても、音楽文化というピラミッドが大きくなければプロとして存在出来ないかも知れないわけなのです。

ですから音楽家は教師も含めて、「クラシック音楽文化」の底辺というものを拡げるように活動しなくてはならないのだと思います。

何か「音楽文化論」的なお話しになってしまっていますが、こうしたことを踏まえて、クラシック音楽の現状を見てみるとかなり厳しいのだと改めて気づくのです。

例えば宮城県でみてみると、クラシック音楽が盛んだと言われる仙台市でさえ、コンサートが開ける音楽ホールが4つしかありません。県全体にしても、もう1ヶ所増えて僅か5つなのです。

これでは音楽家たちがプロとして活動をするのにはかなり厳しいなと思ったわけです。音大を出ても活動をする舞台があまりに少ないのではないのだろうかと。

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