CG : ANTI HERO (Hiromi Hasegawa)
今年の4月から6月に掛けて放送された“正義の反対は本当に悪なのだろうか?”と問いかける法廷ドラマ。
4組の脚本家チームが1年以上掛かって作成した脚本というだけに、極めて綿密なストーリーが展開される。
「明墨正樹」弁護士(長谷川博己)の地検在籍時に係わった死刑囚の冤罪を証明するべく謀略と執念を描く。
“ヤメ検”なのだが、検察の不正によって死刑囚とされた“冤罪事件”を暴く目的で法律事務所を開設した。
“勧善懲悪”的精神に基ずくドラマではあるのだが「明墨正樹」弁護士の手法は“悪”ともいうべきものだ。
“正義の為には悪をも厭わない”、勝利したのは正義なのか悪なのか。そこにこのドラマの問いかけがある。
普通の一般に言う弁護士や検察官、裁判官というのは資格や地位という“特権”を行使している人々である。
しかし「明墨正樹」弁護士の手法はこれらを遥かに超越した知略に基づくもので、現実には殆ど有り得ない。
彼の採った弁護士手法は、一つ一つを見ると“天才的”というものであり言わば“ノーベル賞”的離れ業だ。
恐らく、彼の様な“天才的弁護士”は世界中を探しても居ないか、居ても数名を数える程度に少ないだろう。
我々が見る弁護士というのは“資格という特権”に基づいた人々で、知識や判例、マニュアルで仕事をする。
しかし「明墨正樹」弁護士はたった一人で緻密で大胆な戦略を組み立て実行し、数々の裁判で勝利して行く。
かなり近い将来、弁護士業の多くもAIに取って代わられるだろう。平凡な弁護士ならAIの方がましである。
AI弁護士は全ての法律や判例を記憶し依頼者に正確で正しい助言や解説が出来るだろう。しかも無料である。
AIアナウンサー、AI気象予報士、AIコメンテーターによるニュース番組が登場する日も近いのだろう。
まだAIに置き換われないのは「明墨正樹」弁護士の様な天才的仕事をする人間だけになってしまうのかも。
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