焦点距離:800mm(クロップ1280mm相当) / 絞り:F11 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:3200
使用機材:Canon EOS R5 + RF800mm F11 IS STM
上の写真はあるカメラ評価サイトの写真でEOS R5にRF800mm F11 IS STMを取り付けての資料写真である。
このサイトでは新発売(当時)された単焦点超望遠レンズRF800mm F11 IS STMをR5で試し撮りしている。
R5は4500万画素の高画素カメラなのであるが、この写真はクロップはしているが高解像写真には見えない。
R5はクロップしても2250万画素を確保し十分な解像感が出る筈なのだが、この画像は不鮮明にすら見える。
瞳フォーカスが効いているのだと思うがガチピンには見えないし、鳥の羽毛も繊細さが無くぼやけている。
R5本来の高解像感が感じられないのだ。原因はレンズ側の暗さで『ドーズの限界』を超えている事だろう。
R5 + RF800mm F11 IS STMの組み合わせが高解像感を出せない原因を『ドーズの限界』から理論的に検証する。
『ドーズの限界』からカメラのセンサーと交換レンズの組み合わせの相性は理論的に検証する事が出来る。
望遠鏡の対物レンズは回析の影響を受けるが、口径が大きい程にその影響度が小さくなり、分解能が高くなる。
『ドーズの限界』とはこの際の重要ファクターで、分解能Θ(秒)=115.8÷口径D(mm)で定義される。
カメラの場合には、接眼レンズ側の受光体であるセンサーの画素ピッチが解像度(分解能)に影響して来る。
カメラのレンズの分解能が画素1つの大きさ以下になった場合,写真の解像度は画素ピッチで決まって来る。
ところが現実のカメラのレンズ系には収差があるので、解放絞りよりも絞った方が解像度が高くなるのだ。
この“解像度が高くなる絞り値の限界”を『ドーズの限界』の定義式から計算で求めて評価をしてみよう。
R5はフルサイズのセンサーで大きさは36×24(mm)であるので、800mmでの水平画角は2.58°になる。
R5のセンサーは4500万画素なので、センサー上の水平画角方向の角度単位の画素ピッチは1.13″となる。
光学的分解能が『ドーズの限界』以下となる絞り値は、『ドーズの限界』の定義式から7.81と計算される。
即ち、EOS R5では焦点距離800mmのレンズは絞り値がF8以下で使用する必要があるという事になる。
実際のレンズは収差があるので少し絞って使うと解像度が上がる。だからF5.6以下のレンズがベストだ。
ところが、RF800mm F11 IS STMの明るさはF11であり、これを大きく超えていてこれが問題なのである。
以上から、R5とRF800mm F11 IS STMの組み合わせが『ドーズの限界』から不適合であると証明された。
上の資料写真が不鮮明なのは当然であり、寧ろ、2010万画素のR6で写した方が高解像になったと考える。
即ち「センサーの高画素化は必ずしも高解像化ではない」という事だ。『ドーズの限界』の考慮が必要。
近日発表のEOS R1は3000万画素台に抑えているらしい。安易に高画素化しないキヤノンの姿勢に好感。
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