R7+RF200-800


現在、筆者はキヤノンユーザーである。EOS Rシステムの「デュアルピクセルCMOS AF」が優秀だと感じる。

この全画素位相差AFはハイブリッドAFと違い高速・高精度でのAFを実現、ピント微調整までもしている。

 

キヤノンEOS Rシステムの特筆すべき好ましい点として、一眼レフカメラ用のEFレンズ群が使える事がある。

専用のアダプターを付けて使用するが、「デュアルピクセルCMOS AF」によって最高の性能が引き出される。

 

従来の一眼レフカメラのAF精度では十分に発揮されていなかった本来のレンズの性能が引き出されるのだ。

一眼レフ時代からのキヤノンユーザーは、所有しているEFレンズ群の性能が格段にアップする事を体験する。

 

さて、ミラーレス機EOS Rシステムと共に開発されているのがRFレンズ群である。これについて述べたい。

RFレンズ群、筆者は少し“奇をてらった”レンズが多いと感じてる。余計な機能の付加や暗いレンズが多い。

 

特に“暗いレンズ”が気になっている。センサーの高画素化や高感度化でレンズの明るさは重要でないのか。

RFレンズ群にはEF時代に無かったF8F9F11などという物までがある。筆者はこれに疑問を持っている。

 

確かにセンサーの高感度化で暗いレンズでもよく写るのだが、『ドーズの限界』から解像度は大丈夫なのか。

特に高画素カメラに暗いレンズを取り付けた場合が気になる。そこで、この疑問を理論的に検証してみたい。

 

例としてEOS R73250万画素、フルサイズ換算7540万画素)にRF200-800mm F6.3-9 IS USMを装着の場合だ。

ER7APS-Cサイズでフルサイズ換算で高画素カメラだ。RF200-800mm F6.3-9 IS USMはテレ端がF9と暗い。

 

望遠鏡の対物レンズは回析の影響を受けるが、口径が大きい程にその影響度が小さくなり、分解能が高くなる。

『ドーズの限界』とはこの際の重要ファクターで、分解能Θ(秒)=115.÷口径D(mm)で定義される。

 

カメラの場合には、接眼レンズ側の受光体であるセンサーの画素ピッチが解像度(分解能)に影響して来る。

カメラのレンズの分解能が画素1つの大きさ以下になった場合,写真の解像度は画素ピッチで決まって来る。

 

ところが現実のカメラのレンズ系には収差があるので、解放絞りよりも絞った方が解像度が高くなるのだ。

この“解像度が高くなる絞り値の限界”を『ドーズの限界』の定義式から計算で求めて評価をしてみよう。

 

APS-Cサイズのセンサーの大きさは23.6×15.8mm)であるので、800mmでの水平画角は1.69°になる。

EOS R7のセンサーは3250万画素であるので、これをフルサイズに換算した場合7540万画素に相当する。

 

これらからセンサー上での水平画角方向での角度単位の画素ピッチを計算すると0.81″(秒)となる。

光学的分解能が『ドーズの限界』以下となる絞り値は、『ドーズの限界』の定義式から5.60と計算される。

 

即ち、EOS R7では焦点距離600mmのレンズは絞り値がF5.6以下で使用する必要があるという事になる。

ところが、RF200-800mm F6.3-9 IS USM600mmでの明るさはF9であって、これを大きく超えている。

 

計算上の必要なF値は実際は幅があり実験で調整するが、それにしてもF5.6F9は違い過ぎると考える。

このカメラとレンズの組み合わせでは、テレ端の解像力が『ドーズの限界』から低下すると考えられる。

 

解像力の低下は計算から示された様に相当に大きく、もしかするとAFの動作にも影響する可能性がある。

計算上からではあるが、EOS R7RF200-800mm F6.3-9 IS USMの組み合わせは相性が悪く不適合である。

 

EFレンズ群はF5.6以下の明るいレンズであったので一眼レフカメラのどれとの組み合わせでも適合した。

ところがRFレンズには暗いレンズがありRシステムと組み合わせるは『ドーズの限界』の考慮が必要だ。

 

超望遠レンズの愛好家の中にはEOS R7RF200-800mm F6.3-9 IS USMの組み合わせを検討する人がいる。

ところがキヤノンでは組み合わせNG”のカメラとレンズの表記をしていない。カタログに明記すべきだ。