アンネ・ゾフィー・ムターの「モーツアルト・ヴァイオリン協奏曲第3番」を3つの音源で聴き比べてみた。
「モーツアルト・ヴァイオリン協奏曲第3番」はモーツアルトが最初に成功したとても清らかな音色の曲だ。
「ムター」が弾くこの曲を1778年録音のCDとこれのHi-Resリマスター盤、最新Hi-Res盤を持っている。
1778年録音盤はカラヤン指揮のベルリンフィルハーモニーによるもので当初はLPレコード盤であった。
実は僕はこのLPレコード盤も持っていたのだが、現在はもう無い。そしてレコードプレーヤーももう無い。
視聴に「ヘンリク・シェリング」を加えたかったが、彼の弾くモーツアルトの曲を1つも持ってないのだ。
最初に聴くのは“Hi-Resリマスター盤”だ。とても素晴らしいヴァイオリンの音色である。実に甘美で美しい。
当時の「ムター」はデビュー仕立てで巨匠「カラヤン」が指導、若いムターはこの曲に相応しい感じがする。
次に聴くのは“CD盤”である。Hi-Resリマスター盤と原盤は同じマスターテープだが音が劣化した感じだ。
高音域がHi-Resリマスター盤と比べて出ていない。リボンツイーターで聴くとその違いがはっきりと判る。
LPレコード盤を聴いていた当時に“CD盤”を聴いた時に、何か音が抜けている感じがしたものであった。
今でも感じるのだが、CDという再生システムは音楽再生にはとても“中途半端”であるという印象がある。
CDという再生システムはデジタル高音質と大衆音響機器との“妥協の産物”だった気がしているのである。
雑音は少ないが高音質かというと16bitで大まかである。その為にアナログの良い点が犠牲になっている。
最後に聴くのは“最新盤”である。これは最初からHi-Res録音がされている。ムター自身がプロデュース。
素晴らしい“高音質”で彼女のヴァイオリンが実に生々しく聴こえて来る。だが、ちょっときつい音だ。
恐らく使用しているヴァイオリンは彼女の2丁持っている『ストラディヴァリウス』のどちらかであろう。
明らかに『ストラディヴァリウス』の音である。美しい音色だが時に鋭い音を奏でて聴き手を魅了する。
それに対し1778年録音盤の方は多分ストラディヴァリウスではないと思う。ではないが甘美な音色だ。
正直に言うと、僕はこの1778年録音盤の方の音色が好みである。これのHi-Resリマスター盤が良い。
個人的に美しい鋭い音色の『ストラディヴァリウス』より『グァルネリウス』の甘美な音色が好きである。
なので『グァルネリウス』を愛用する「ヘンリク・シェリング」を好む。同曲の彼の演奏を探してみよう。
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